ヒューイ日誌

考えたことを発信するのが目的ですが、具体的な形は見えていないので、書きながら作って行きます。

「白米は体に悪い」勇気ある分析発表〜津川友介氏の書評

 健康のために、何を食べればいいのか?
 書店やインターネット上には「健康のためには○○を食べるべき」「○○は健康を損ねるので食べてはいけない」といった、健康のための「食」に関する情報が溢れている。しかし、これらの情報は、発信者の主観に基づくものや、損得勘定で動いている人の思惑によるものなど、科学的根拠に基づかないものが多い。
 
 その中で、最近出版された「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」(津川友介著)は、数多くの信頼できる研究によってわかった本当に健康に良い(=脳卒中心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)食品とは何かを紹介するという、話題の本である。
 
 
 この本のすごいところは、一切忖度なく科学的根拠に基づいて、いくつかの食品を、正直に「体に悪い」と言い切ったところである。例えば日本人の主食である白米は、血糖値を上げ、脳卒中心筋梗塞などの動脈硬化による病気が起こるリスクを上げる可能性があるとして、「体に悪い」と言い切っている。また「食べ過ぎなければ大丈夫なのでは」といった反論に対しても、「日本人が大好きな白米は少量でも体に悪いと言ってよいだろう」とエビデンスを元に、容赦無く切り捨てる。
 
 著者が「体に悪い」と言い切っている白米は、実は日本政府が「健康のために」国民に食べることを推奨している。農水省厚労省が公表している「食事バランスガイド」では、1日あたり、ごはん(中盛り)4杯程度を食べるよう勧めているのである。
 
 科学的には「体に悪い」とされる白米が、政策レベルでは「健康のために」食べるべきと推奨される。なぜこういうことが起きるのか。こうした情報は利害関係者(農家や政治家)にとっては不都合な事実でしかなく、政策に反映させるメリットは全くない。そしてマイナスの情報は政策に反映されないどころか、歪められ、最終的には「体に悪い」が「体にいい」と真逆の内容になってしまうということが起きてしまう。
 
 本の中では、本当に健康に良いと考えられている食品として①魚、②野菜、③茶色い炭水化物、④オリーブオイル、⑤ナッツ類を上げている。そして健康に悪いと考えられているものとして、①赤い肉、②白い炭水化物、③バターなど、と明示している。
 
 健康のために我々は何を食べればいいのか、という問題は、「健康になりたい」と思う人々にとっては切実である。この問題に限らず、日本政府も国民目線(消費者目線)で、科学的根拠に基づいた政策を採用すべきと思うが、産業寄りの農水省などはとてもではないが採用できないであろう。こうした現状なので、我々は科学的根拠に基づいた本書などを頼りに、自分で正確な情報を取りに行き、日々選択していく以外に道はない。